「瞬・・・・・・お仕事頑張ってる?」
「あぁ、なかなか上手くいかないけど・・・」
瞬さんも自然とよしこさんの問いに答えていた。
その姿は、安心しきっていて、本当に祖母と孫との会話だった。
「瞬は、頑張り屋さんだから、きっといいお医者さんになれるわよ」
よしこさんは、じっと瞬さんを見つめ、その表情はとても柔かかった。
「ありがとう。頑張る・・・・・・」
悔しいけど、こんなに素直な瞬さんを見たことがない。
そして、よしこさんの次の言葉に私は声を詰まらせた。
何も言わなくなった私に瞬さんは「睦美?」と声を掛けてくれた。
そんなこと、自分で言えないですよ・・・・・・私が困った顔をしているのを見て、喜んでいる。
・・・・・・この人もドSなのか?
そう思いながらも、ちゃんと瞬さんに伝えてあげないという思いから口を開いた。
「睦美さん、かわいいわね」
なんで自分でそんなことを言わなくちゃいけないのよ・・・・・・。
一瞬私の顔を見て驚いた顔をしたが、すぐに笑顔で答えた。
「うん、俺にはもったいないと思ってる。彼女と結婚したいと思ってる」
はっきりした口調で、彼が宣言すると、よしこさんはニッコリ笑って私に向かって
「瞬をよろしくね、睦美さん」
と言ってくれた。
「いえ、こちらこそ」
頭を下げる私に横から「なんて?」と優しく聞く彼に「秘密」と答えた。
すると、いつもなら追求してくるはずなのに、「そっか」と言って、よしこさんが座っている方に目を向けた。

