「おばあ様って、白髪だった?ベージュのワンピースをよく着てた?」
背中に瞬さんの視線を感じながら聞いた。
「・・・・・・なんで、知ってるん?」
やっぱりそうだ・・・・・・。
信じてもらえないかもしれないけど、その隅に瞬さんのおばあ様がいるの」
・・・・・・信じられないよね。気味悪く思うよね。
「・・・・・・睦美?」
その時、私の視線の先の女性が口を開いた。
「瞬さん・・・・・・そのベージュのワンピースって瞬さんがプレゼントしたの?」
おばあ様がそう言ってる。
「これはね、瞬が私の誕生日にプレゼントしてくれたの。とても気に入ってるの」
その顔は、とても嬉しそうで、目元が瞬さんに似ていた。
「なぁ、本当に見えてるん?」
私の背中に向けて言うその言葉は、まだ半信半疑であることがわかった。
「睦美さん、初めまして。私は瞬の祖母の 高木よしこです」
上品な出で立ちの女性は、ぺこりと頭下げていた。
「おばあ様のお名前は、高木よしこさんで合っていますか?」
これで信じてくれる?
よしこさんも、瞬さんに気付いて欲しいんやで・・・。
「・・・・・・睦美、どこにいるの?ばあちゃん」
隣に座り、私と同じように部屋の隅を見つめて、私は彼の手を引き、よしこさんが座る部屋の隅へと連れて行き、二人で正座した。
「この前にいらっしゃいます」
私の顔を見た後、前に乗り出して壁に穴が開くくらい見つめていた。
「やっぱり、見えへん」
頭を横に振り、うなだれた。
「瞬、おばあちゃんの姿が見えなくても、気持ちは伝わってるよ」
私はよしこさんが話す言葉を口にした。
「ばあちゃん・・・・・・」
顔を上げてよしこさんがいる方を見つめた。
でも、彼には見えていない。

