White Magic ~俺様ドクターの魔法~


救急医療は、問題となっている。

夜間の当直の医師の数は限られている。


うちの病院でも一人しかいない。もし受け入れを要請した病院に、先に搬送されている患者さんがいたら、拒否される場合が多い。


そうなると、次の病院に回される。


それが何件も続くことはあっても、10件はあまりにも多すぎる。



「ベッドが空いていない」

「先生が処置中」


そんなことさえ、本当か?と思われるのは当然なのかもしれない。


私も医療従事者として、同じ立場の人達を責めたくはないが、度を超えてしまうと、疑ってしまう。



「救急要請は断るな!」


うちの病院の院長は、よくそう言っている。

お金のためだと言う職員もいるが、もしそうだとしても、現状を考えると、患者側にとっては素晴らしいことである。


実際、どうしても都合がつかない時以外は、受け入れるようにしている。


「受け入れてくれる所がなくて、5件目なんです」

と救急隊員の悲痛の叫びを聞くこともある。


ただし、これは病院側の問題だけではない。


現在の救急車の適正利用率は約40%、つまり60%は救急車を要請するほどではない「軽症」というわけだ。


つまり、診察が終わったら、歩いて帰ることができる人も多いということだ。