「ばあちゃんは、すごく優しくて、遊びに行ったら、ずっと傍にいてくれた。
両親が仕事で忙しくて留守がちな俺は、ばあちゃんと過ごすの時間が好きやった。
俺が大学に合格した時も、一番に喜んでくれて・・・・・・いつも応援してくれていた。
隣の県に住んでいるからなかなか会えないけどな・・・・・・」
俯いて、手の甲を見つめ、時折、自分の指先を触りながらゆっくりと話してくれた。
本当に、おばあちゃんのことが好きなんやなぁ。
彼の優しい言葉で、容易にわかった。
部屋は静まり返り、テレビのバラエティーの笑い声だけが明るく流れてきた。
「・・・・・・本当に好きやったんやね」
俯く彼に向けてそう言うと、彼は静かに頷いた。
そして、再び俯くと、歯を食いしばり、手を握り締め、溢れてくるものを抑えるように、その拳は震えていた。
「・・・・・・俺が助けてやりたかった」
息も切れ切れにそう言うと、一粒涙を零した。
そう思うのはわかる・・・・・・だって医師なのだから・・・・・・。

