「今日の夕方に倒れて・・・救急車を呼んだんやけど、受け入れてくれる病院がなくて・・・・・・
10件断られたらしい・・・救急車の中で待機した時間は2時間・・・・・・」
・・・・・・2時間も?
私の目の前は真っ暗になり、胸が苦しくなってきた。
じゃぁ、本当に・・・すぐに搬送されていたら助かっていたのかもしれないの?
そんな・・・・・・辛すぎるよ。
「くやしい・・・・・・」
私の腕を掴む力を強め、少し痛かったが、彼の心の痛みに比べたら、こんなことなんでもない。
そりゃ、悔しいよね・・・・・・自分が医師なんだから・・・・・・。
「あっ、ごめん。痛かったやんな?」
手の力を抜いて、私の前にあぐらをかいて座ると、なんとも苦しそうな表情をして俯いていた。
さっきまで彼が掴んでいた私の腕は、少し痛みが残っていた。

