「でもあながち間違ってないんだよね…」
そう。卓也の言っていたことはほとんど図星だった。
あの日パーティで見てしまった光景。
あの時の隼人の姿が何度も何度も頭の中に甦る。
それと同時にその直後に志保に気付いた彼が見せた真逆の満面の笑み。それが志保の中にエンドレスに浮かんでは消え、気が付けば彼のことばかり考えている自分がいる。
あんなに冷たい表情を目の当たりにしたというのに、それでも彼が気になって仕方がない。今までならば間違いなくこちらから距離を取っていたに違いないのに。
「ちゃんと普通にできるかな…」
今日特にぼーっとしてしまっているのには理由がある。
他でもない、あれ以来初めて彼に会うからだ。
食事でもどうですかと二日前に連絡が来た。期待と不安が入り交じりながらも、それでもやはりドキドキしてしまっている自分がいる。
どんな顔で会えばいいだろう、不自然にならないだろうか。
少しでもいいから心から笑った顔が見たい。
そんなことばかり考えてしまっている自分は、やはり卓也の言う通り「恋煩い」なのかもしれない。

