「志保おねえちゃん、今日も元気ない?」
「…え?」
鶴を作ろうとせっせと動かしていたその手が思いも寄らぬ一言にピタリと止まる。その言葉を発した張本人、瑠璃はどこか心配そうに上目遣いでこちらをじーっと見ていた。
「今日もおねえちゃんちょっとへんだよ?」
「えっ?! そ、そんなことないよ? どうして?」
「だって、なんだかぼーっとしてるんだもん」
「え…」
自分では全くそんなつもりはなかったというのに。けれどそこまで心配そうな顔をされるのならば、おそらく子どもの言う通りなのだろう。前回もぼーっとして心配をかけてしまったというのに、一体何をしているのやら。
「ごめんね? おねえちゃんもうすぐ学校の試験だから。大丈夫かな~ってドキドキしてたの」
「しけん? それってたいへんなの?」
「うん、でも大丈夫だよ。るぅちゃん達の顔を見たら元気になったから!」
「ほんと?」
「ほんとほんと!」
大袈裟すぎるほどにガッツポーズを作ると、しばらくそれを見つめていた瑠璃がほわんと嬉しそうに表情を崩す。その笑顔が見られただけでもここに来てよかったと思えるくらいの可愛らしさで。

