「……ちゃん…しほおねえちゃんっ!!」


突然意識の中に入ってきた声にハッとする。
その勢いで手に握っていた本がバサバサと音を立てて落ちた。

「あっ…ごめんね! ボーッとしちゃった」

笑って誤魔化しながら慌てて本を拾い上げると、目の前には心配そうに自分を見つめる子ども達の姿があった。

「おねえちゃん今日変だよ? どこかいたいいたい?」

この中で一番小さな4歳の瑠璃が志保の腕にしがみついてくる。

「るぅちゃん…ううん、お姉ちゃん元気だよ! ごめんね? 今日皆に会えるのが楽しみでなかなか眠れなかったの。だからぼーっとしちゃった」
「ほんとにほんとにだいじょうぶ?」

不安に揺れる瞳に胸が痛む。
志保は瑠璃の小さな体をギューッと抱きしめた。

「だいじょうぶっ!! 元気モリモリだよ!! さっ、続き読もっか!…ってどこまで読んだっけ?」
「あーー、やっぱり覚えてないっ! もう、ここだよっ」

周りにいた子ども達が笑って本を指差す。
志保も笑いながら再び子ども達の輪の中心で本を読み始めた。