いつかあなたに還るまで



西園寺家が主催して開かれるパーティは年に数回ある。パーティとは言っても主にビジネスでのコネクション作りを目的としているため、少しでも西園寺に媚びを売りたい連中が群がってくるばかりで、昔から志保にとって楽しい思い出など何一つ残ってはいない。その場が煌びやかに彩られれば彩られるほどに、その心は反比例して重く沈んでいくようだった。

今回のもそのうちの1つだが、いつもならばただ憂鬱の種でしかないこの場が、今日だけは志保にとってまた違った緊張感を持つものへと変わっていた。

祖父に勧められたとはいえ、初めて自分の意志で選んだ男性とこの場に立っている。

その事実は周囲からも驚きをもって受け取られていた。
寄ってくる男から逃げ腰になることはあっても、間違っても自ら傍らに男性を伴うような振る舞いをしたことがなかった。そんな志保が見知らぬ男を引き連れてやって来たともなれば…注目するなというのが無理な話だ。

会場に入ってから遠慮なしに浴びせられる視線の数々に、志保は人知れず深い溜め息をこぼしていた。