いつかあなたに還るまで




「ここは…」

あれから数十分をかけて移動した先。そこは水族館だった。
海に面したそこはカップルから子連れまで、多くの人で賑わっている。

「緊張しているようだったのでゆったり気持ちをほぐしてもらえたらいいかなと思って。…子どもっぽくて嫌ですか?」

建物を見上げたまま何も言わない志保に隼人が申し訳なさげに声をかける。
その言葉に我に返ると、志保はすぐに首を横に振った。

「そんなことはありません! ただ来るのが久しぶりだったので懐かしくて…」
「嫌いじゃないですか?」
「もちろんです。大好きです」
「そうですか、それなら良かった」

そう言って安堵したように微笑んだ隼人の瞳は幾分優しげに見えた。

「じゃあ行きましょうか」
「はい」

同じように微笑んで頷くと、隼人にエスコートされるような形で二人はチケット売り場へと向かった。