「普段から車に乗られるんですか?」
「はい。とは言っても休みの日くらいですけど。安物の車でお恥ずかしいですが、どうぞ」
「そんなことありません!」
即座に否定した志保にフッと笑いを零すと、隼人は助手席に案内した。
シートベルトをつけながら志保の心臓は既に爆発しそうになっていた。男性と二人で出かけるのも初めてなのにいきなりこんな狭い空間。こんなことでいちいち緊張するなんて恥ずかしいと思っても、心臓は思うように落ち着いてはくれない。
「志保さん? どうされましたか?」
ガチガチに固まる志保を不思議そうに覗き込んできた隼人に志保の体がビクッと跳ね上がる。
「あっ…ごめんなさい! 男性と一緒に出かけるのも初めてで…だからこんな空間にどうしていいのか緊張してしまって…ほんとにごめんなさい!」
志保の言葉に一瞬だけ驚いた顔をしたが、隼人はすぐに笑顔に変わる。
「初めて出掛けるのが僕だなんて光栄です。でも緊張していたらせっかくの時間が楽しめませんから、どうかもっとリラックスされてくださいね」
「は、はい…」

