「何を言ってるの? このお話を受けたのは私の意思でしょう?」
「…そうですね。ちょっと心配のし過ぎでした。ただ何かあったときには私がいるということを忘れないでくださいね」

宮間の力強い言葉に志保の体からフッと力が抜けていく。

…本当は怖い。
あの人の冷たい瞳が何を考えているのかがわからなくて。
ただそれでも知りたいと思ってしまったのも事実。

今日が来るまでその相反する二つの感情で気持ちが揺れていた。

でも自分にはこうして支えてくれる絶対的な存在がいる。
…だから大丈夫。
自分をしっかり持ってさえいれば。

「ありがとう、宮間。宮間がいるからこそ私も前向きに考えようと思えたのよ」
「そう思っていただけたならこの上ない喜びです。さぁ、そろそろ行きましょうか」
「えぇ」

そう言って微笑むと宮間に続いて志保も部屋を後にした。