「そうして生まれた暁にはきっとこう思うのよ。『この子が立派に成長するまでは』って。そんなことを繰り返していたら一体いつ自分の幸せを掴む暇があるっていうの?」
「それは…」
何も言い返せないのか、宮間は気まずそうに俯いて両手を握りしめた。
「…ねぇ、宮間。何も無理矢理お付き合いしなさいって言ってるわけじゃないのよ。あなたの人生なんだもの。あなたが望むように生きていってくれればいい。それでも、自分の幸せよりも私の幸せを優先するようなことはあってほしくないの。だって私はもう充分過ぎるほどに幸せなんだから。あなただってさっき言ってくれたじゃない。幸せそうでなによりですって」
「志保様…」
「茂木さんはご両親の代からこの西園寺家を支え続けてくださっていて、お祖父様からの信頼も厚いってことも聞いてる。それに何よりも、前に二人がすごく幸せそうに話しているのを見たことがあるの。だから少なからず宮間だって彼に好意を抱いてるはずでしょう?」
見られていたなんて思いもしなかったのか、再び宮間の頬がじわりと紅潮する。
その無言の肯定に、志保は身を乗り出して宮間の両手をとった。
「お願い宮間。私の幸せを願ってくれるのなら、何よりもあなたの幸せを第一に考えて。だって私には隼人さんというかけがえのない人がいてくれる。…そしてこの子も。だから今度こそ、今度こそ宮間が幸せになる番よ」
「志保様…」
「いつか私の子どもと宮間の子どもが楽しそうに遊ぶ姿を見るのが今の私の夢なの! とっても素敵だと思わない?」
キラキラと子どものように夢を語る志保の姿に、やがて宮間も脱力したようにほわりと笑みを浮かべた。
「…そうですね。とっても素敵な未来だと思います」

