「志保様、霧島様がお迎えに上がりました」
「はい、今行きます」

鏡の前で身だしなみをチェックすると、志保はすぐに宮間の待つ扉へと向かった。

「男性と出かけるなんて初めてだからよくわからなくて。とりあえず無難な服にしたのだけどこれでよかったのかしら?」

宮間の前まで辿り着くと、裾を掴んでもう一度不安そうにチェックする。
志保が着ているのは桜色のワンピース。Aラインのごくごくシンプルなデザインだが、色白な彼女にはよく似合っていて上品な雰囲気を醸しだしている。
宮間はそんな彼女にニッコリ微笑むと大きく頷いた。

「とってもよくお似合いですよ。きっと霧島様もそう思われますよ」
「…そう、それならいいのだけど」

緊張気味の志保の口からホッと小さな息が零れた。

「…大丈夫ですか?」
「え?」
「無理はされなくていいんですよ?」

その言葉に志保は驚いて顔を上げた。