「わぁっ、すごい…!」

目の前に広がる見たこともないような雄大な光景に、志保は完全にそれ以上の言葉を奪われてしまった。両手を口に当てたまま、ただただ感動に震えるばかり。

そんな志保の後ろから伸びてきた手がゆっくりと彼女の体を包み込む。

「気に入った?」
「はい…! 想像してたよりもずっとずっと素敵です…! 隼人さん、連れて来てくれてありがとうございます…!」

声を震わせながら感謝の言葉を口にする志保に、ゆるりと隼人のまなじりが弧を描く。それはそれは嬉しそうに、幸せそうに。

「よかった。この景色を見た瞬間から、絶対に志保とここに戻って来たいって思ってたから」
「…はい。一緒に来ることが出来て、本当に幸せです…」

胸の前で交差された手に自分の手を重ねると、抱きしめる力がぐっと増した。
そのことに言葉に出来ない幸せを感じながら、志保はあらためて目の前の景色に目をやった。