「はい、できたよっ! もう目開けてもいいよ!」

そう言われてゆっくり瞼を持ち上げていくと、やがて鏡に映った自分の姿にわぁっと喜びの声が出た。

「わぁ、すごい綺麗! えっ、これ全部るぅちゃんが作ったの?」
「そうだよ。早起きして超特急で頑張ったんだから!」
「すごい…」

それ以上の言葉を失うと、志保は鏡に食い入るように見入ってしまった。

志保の頭を飾るもの。それは手作りの花冠だ。
バラの花を中心に細かく編み込まれたそれは、とても小学生が作ったものだとは思えない。しかも花の鮮度を保つために、今日作ったばかりだというではないか。

「ずーっと練習してたもんね!」
「あっ、なっちゃんそれ内緒って言ったでしょ!」
「えへへ、いいじゃん別に。志保ねぇだって嬉しいに決まってるよ」

「…ずっと練習してくれてたの?」
「え? あ…んー、まぁ、ねっ」

他の友達の茶々に顔を染めながらも、瑠璃が照れくさそうにえへへと頷く。

「あっ、志保ねぇ、まだ泣いちゃだめだからね!」
「うっ…はい…」

間髪入れぬ鋭いツッコミに、出かかった涙が慌てて引っ込んだ。