世間知らずのお嬢様なんて簡単に手玉に取れるくらいの気持ちでいた。
しかし目の前にいる相手からはその隙が微塵も感じられなかった。
こちらの腹の内を探るような、終始そんなオーラに包まれていた。

だが俺もただでは転ばない。
これ以上ないチャンスを絶対にものにしてみせる。
そのためならどんな仮面だって被れる。
善人にも、悪人にも、必要ならばいくらでも演じて見せようじゃないか。

警戒心剥き出しの彼女すら取り込んでしまうほどに。

目論見通り、後日再び会うことへの前向きな返事が返ってきた。
まずはスタートラインに立つことができた。
ここが最大の難関だったと言っても過言ではない。

後はじっくり時間をかけて彼女をこちらのペースに引き込んでしまえばいい。