いつかあなたに還るまで





そうしてどれくらいの時間が経っただろうか。
部屋の中に差し込んでいるのは、いつの間にか月の光へと変わっていた。


「…ふっ、すごい顔」
「っ…いわ、ないで、くださいっ…!」

ようやく上げた顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃになっていて、志保が真っ赤になってそれを隠そうとする。だがその手を掴むと、隼人はまだ涙で濡れるまなじりにそっとキスを落とした。

「可愛い。隠さないでもっと見せて。どんな志保でも見たい」
「は、やと、さっ…」

啄むように続く甘い囁きとキスに、今度は違う意味で真っ赤に染まる。やがてそれが唇へと辿り着くと、反射的に隼人の首に手を回していた。そんな自然な仕草にゆるりと目を細めると、唇にキスを落としたまま志保の体ごと抱き上げる。
そうしてベッドへと下ろすと、隼人は志保の左手をとって手のひらにゆっくりと口づけた。

じっと自分を見つめる双眸は、はっきりとした熱を帯びている。

「志保の全てが欲しい。…抱いても、いいか…?」

ストレートな求愛に、きゅうっとお腹の奥が疼く。
本当は、ほんの少しだけ…怖い。
あの日の傷は、きっとこれから先も完全に癒えることはないだろう。

けれど。それでも。
どんな痛みでも、あなたと一緒ならば。

「…私も、隼人さんの全てが欲しいです。全部、受け止めたい___」
「志保…」