「志保。人を憎むことでしか生きる意味を見出せなかった俺に、人を愛することの素晴らしさ、喜び、…そして痛みを思い出させてくれたのは他でもない君だ。この世界にたった一人、志保だけ。そんな君を傷つけたのが自分だという現実に、悩み、藻掻き、打ちのめされた。……それでも、どうしても消すことのできなかった想いがある」
これまでのどんな彼とも違う必死な訴えに、息をするのも忘れてしまう。
…聞くのが怖い。
だって、聞いてしまったら自分の中の何かが壊れてしまうから。
だから本当は聞くべきじゃないってわかってる。
…わかってるのに。
心の奥底に封じ込めていたもう一人の自分が、必死に手を伸ばして求めてるんだ。
「…志保を愛してる。志保に愛されたい。…志保と共に生きていきたい」
____あなたと共に生きていく、そんな未来を。
「志保…」
そっと引き寄せられた腕の中は、最後に抱きしめてもらったときと何一つ変わってはいなかった。壊れ物に触れるかのように優しいのに、髪の毛一本ほども通せないほどにぴったりと引き寄せて離さない。
「…っ、ふ、ぅっ…!」
あなたに包まれて初めて、自分が泣いているのだと気付いた。
…あぁ、私はバカだ。
自分を甘やかしてはいけないと思うのに、あなたの体温を感じられることを、どうしようもないほどに幸せだと感じてしまう。
どんなに足掻いても、本当の心を閉ざしてしまうことなんて無理なのだと。

