いつかあなたに還るまで


あぁ、これが現実ならどんなにいいのだろう。

…ううん、本当はわかってる。
これは夢でも幻でもない、紛れもない現実なんだってことを。
愛する人に愛を誓ってもらえる。
これ以上の幸せがあるだろうか。

この手を取りたい。
私もあなたを愛していますと伝えたい。
何も考えずに、その胸の中に飛び込んでしまいたい。


…けれど、私はそんなことを許されていい人間じゃないから。

だから_____


「…志保一人に悲しみを背負わせてしまったこと、心から申し訳なく思ってる」
「_____え?」


あなたと生きていくことはできない。そう告げようとした志保の言葉に被せるように、目の前の人物___隼人が謝罪の言葉を口にする。何を言っているのかがわからなくて、志保は窺うようにその顔を見上げた。
ようやくまともに正面から見つめた顔は、何故か苦悶に満ちている。

「…本当に、申し訳なかった」

…何故彼が謝らなくてはならないのか。
そうすべきなのは自分であって、間違っても彼ではない。
それこそどんな言葉を並べたところで、自分の犯した罪は消せはしない。

「……隼人さん。私は…」
「全て知ってるんだ」
「……え?」

「五年前、志保に何があったのか。…全て」

「______っ」

信じられない、信じたくない告白に、みるみる志保の目が驚愕に見開かれていく。