「ほんとに綺麗…」
我ながら表現力に乏しすぎると思うけれど、本当にそれ以外の言葉が見当たらないのだからしょうがない。
聞こえてくるのは流れる水と風の音だけ。
その風にたなびく草花は楽しげに歌っているかのようだ。
こんな夢のような空間を独り占めできているだなんて、偶然にしてもなんと奇跡的な確率なのだろう。縁起がいいと宮間が言ったのも、まんざらではない気になってくる。
そうしてしばらく目を閉じて陶然と自然を感じていた志保の後ろから、コツンと小さな音が響いて、反射的に意識が引き戻された。
「…あ、宮______ 」
間と続けようとした言葉は、そのままそれ以上発せられることはなかった。
笑いながら振り返ったはずの志保からは一瞬にして表情が消え去り、まるで幽霊でも見たかのように呆然とその場に立ち尽くしている。ぽかんとほんの少し口を開けたままの姿は、いつもの彼女からは想像もつかないほど幼く見えた。
それでも、そんなことすら全く意識できないほどに、頭の中は真っ白だった。
な……に…?
いったい、なに、が……
「 西園寺志保さん 」
幻だと思っていた人影がはっきりと口にした名に、ビクッと雷が落ちたかのように志保の体が揺れた。

