ゆっくりと目を開けると、触れていた手をそっと離す。
「…今日ね、これからお見合いがあるんだよ。昔の自分なら絶対に嫌だ!って騒いでたと思うのに、不思議だよね。今なら、あぁ、ついにその時が来たのか~って、悟りを開いたみたいに妙に落ち着いてる自分がいるの。…今日がパパとママの命日だっていうのも、なんだか不思議な縁を感じて」
都合のいい解釈かもしれないけれど、今の自分にはそんなことですらプラスに思える気持ちのゆとりがあった。
本当に不思議なものだけれど。
「もちろんうまくいくかはわからないよ。お祖父様も無理はしなくていいって言ってくれたし、自分なりにきちんと相手の人と向き合ってみようと思う。…だから、皆で見守っていてね」
言った直後、ザザザ…と強い風が吹き抜けた。風に煽られた桜の花びらが志保の頬を撫で、まるで両親が答えてくれているかのようだった。
それは渡米する前、思い出の高台から海を見下ろしたときと全く同じで。
偶然だとは思えないことの連続に、志保はふふっと微笑む。
「…じゃあ行ってくるから。またあらためて報告に来るからね!」
あの日と同じように力強く宣言すると、気持ちも新たに歩き出した。

