目を伏せていた宮間が再びこちらを向いたが、滲む視界ではもはやそんなことはわかりっこなかった。
「悲しい結果にはなってしまいましたが、志保様はあなたと出会ったことを、そしてあなたを心から好きになったことを、感謝こそすれ、後悔したことなど一度だってありません。そして今でもあなたの幸せを心の底から願っています」
口元を押さえる手は既にびちゃびちゃになっている。
さぞかし顔は酷いことになっているのだろう。
だがそんなことはどうでもよかった。
「…霧島様。どうか前を向いて生きていってください。志保様の想いを無駄にせず、あなたがこれまで歩んできた人生を無駄にせず。…そしてお子様の分まで。幸せに生きてくれることこそが、たった一つ、志保様があなたに願うことです。どうかそのことを忘れないでください」
「……っ、う…うぅ゛_______っ…!」
ぷつりと、何かが切れたような気がした。

