目の前で、何かに気付いた宮間が悲しげに目を伏せる。
直後、膝の上で固く握られていた拳に生温かい何かが触れた。
「…………え…?」
ゆっくりと見下ろすと、何故か両手が濡れていた。
手だけじゃない。スラックスも、絨毯も、その辺のものは全て。
こうしている間も落ちてくる滴に次から次へと新たな染みを作っていく。
カタカタと震える手で頬に触れてみる。
…その時初めて、自分が泣いているのだと気付いた。
ぼろぼろと、滝のように流れ落ちていくそれを止める術など存在しない。
物心ついてからただの一度も、母を亡くしたときですら泣かなかったこの自分が。とめどなく溢れるこの涙を止めることができないでいる。
「あ、れ…? ど、して…こんなっ…」
必死で平静を装うとしたって無駄な足掻きにしかならない。
「……ふっ…うぅっ…!」
溢れ出る嗚咽をおさえることができず、堪らず口元を手で覆った。
その手は震え、体も痙攣しているかのようにカタカタと揺れている。

