「すみま、せんっ…!」
ようやく我に返ったガキは慌てて涙を手で拭い始めたが、どうしてだかそれを止めている自分がいた。またしてもキョトンと呆気にとられているガキに思わず吹き出す。
「…泣けるときはいくらでも泣けばいい。そうして全部吐き出したら、きっといつか前に進もうと思える日が来る。泣きたいときですら涙一つ出てこない俺からしたら、お前が羨ましいくらいだ。だから好きなだけ泣けよ」
咄嗟に掴んでいた小さな手がぶるぶると震えだす。やがてガキはダムが決壊したかのように滂沱の涙を流し始めた。
本当に、この日の自分がどうしてあんな行動に出たのか。
こうして思い出してみても全く理解できるものではなかった。
「あのっ、ハンカチはっ…!」
ひとしきり落ち着きを取り戻したところで立ち上がった隼人に、少年も慌てて立ち上がる。
「…やるよ。泣きたいときには好きなだけそれを使え。もしいつか会えたときには返せよな」
思いつくままにそう口にした隼人の後ろ姿を、少年はハンカチを握りしめたままいつまでも見つめていた。
そんな…まさか。
まさか、あの少年が_____

