今から3年ほど前、仕事で外に出たついでに少し息抜きをしようと、とある公園に行った時のことだ。どこか適当に転がる場所でもないかと園内を見渡すと、葉っぱの陰にベンチがあるのが見えた。早速と思い小径を抜けていくと、既にそこには先客がいた。
内心盛大に舌打ちをしながら踵を返したのだが___何故かそこで足が止まった。
ゆっくりと振り返った隼人の視界に映ったもの。
それは肉まんにかじり付きながら大粒の涙を流している少年の姿だった。季節外れの妙な厚着だけでも浮いていたが、肉まんごときでそんなに感動するのかと、どん引きする一方でそこから目が離せなかった。
だがちょっとからかってやろうかと近づいてみたところで、自分の認識が間違っていたことに気付く。
嬉しくて泣いていたんじゃない、彼は誰の目から見てもわかるほどに悲しげに泣いていた。肉まんを食べるという行動とは対照的なその姿に、意味もわからずに胸が痛くなった。
だからだろうと思う。
あまりにもそのガキが不憫に見えて、普段なら絶対に見向きもしないその場面で…気がつけばハンカチを渡している自分がいたのは。
大きな目から涙を零しながら驚くガキを、何故だか羨ましいと思った。
人目も憚らずに感情を露わにして泣けることが、単純に羨ましかった。
幼少期を除けば、これまでの人生ただの一度も泣いたことなどなかったから。
滝のように流れ落ちるその涙を、美しいとすら思った。

