「……これが何かわかりますか?」
黙り込んでしまった隼人の前に、宮間が二枚の紺色のハンカチを差し出した。
テーブルに置かれたそれらは、似ているようで少し違う。
「これは…?」
「見て何かお気づきになりませんか?」
「…?」
首を傾げながらもう一度そこに視線を戻す。
すると見ているうちに、一つの可能性に思い当たった。
「…もしかして、あの景色を見に行った時の…?」
自分にとって特別な場所へ志保を連れて行ったことがある。
あの時はどうしてそんな行動に出たのか自分でもわからなかったが、目の前の景色を見ながらぼろぼろと涙を零す志保に、確かハンカチを貸したような気がする。…いや、間違いなくその時のものだ。
だがそうだとして、もう一つはどういうことだ…?
ますます謎を深めていく隼人に、宮間が思いも寄らぬことを言い出した。
「こちらのハンカチもあなたが志保様に貸して差し上げたものですよ」
「___え?」
一体、いつ?
記憶をたぐり寄せるが、いくら辿ってもそれらしい記憶はどこにもない。
何かの間違いでは?

