いつかあなたに還るまで


私自身…? それはどういう意味だろうか。
それほどに心を寄せている相手だということの比喩か。

「…彼女は私の命の恩人なんです」
「…え?」

命の恩人?

「私もあなたと同じ。生い立ちに負い目をもって育った人間です。だからあなたがここを初めて訪れた時、あぁ、私と同じところにいる人間だとすぐにわかりました。だから純粋な気持ちで志保様に会うわけではないことも最初から知っていたんです」

…まさか。だったら何故___

「身寄りのない私は大学に通う傍ら銀座の高級クラブで働いていました。その時に出会ったのが会長です。自分の存在価値を見出せないまま、自分を見下してきた人間に一泡吹かせるためだけに生きていた私に、会長は志保様のお付きにならないかと打診されました」

面倒くさい、それが正直な感想だった。けれど、上流階級の人間とコネクションを作る機会などそうそうあるものではない。この千載一遇のチャンスを生かさない手はないと、最終的にはその申し出を受け入れたのだった。

驚きに目を丸くしている隼人に、宮間がふふっと仄かに笑う。

「今あなたが考えている通りです。私も志保様に近づいたのは、自分の野望を現実のものにするため。そのために彼女の存在を利用したんです」
「…!」