「……………え…?」
日本に、いない…?
それは、どういう…
「もっと人として成長したいと、単身日本を離れる決断をされたんです。もう一ヶ月以上前のことになります」
「…!」
ガツンと、頭を鈍器で殴られたような気分だった。
いつまでも過去ばかりを振り返っている男とは対照的に、彼女はこんなにも前に進んでいた。
「一体、どこへ…」
無意識に口をついて出ていた言葉に、宮間は何も答えずに曖昧に微笑むだけ。
その瞬間、もう本当に彼女がこの手に戻って来ることはないのだと思い知らされて、一気に体中から力が抜けていった。
なんだかんだ言いながら、結局は彼女との未来を信じていたかった。
いつか、いつか共に歩める未来がやってくるのではないかと。
どこかでそう信じていたかった。
この期に及んでまだそんなおめでたい期待をしていたのだ。
「…本当は志保様には固く口止めされていました。何があっても決して言ってはならないと。私は彼女の望むことならどんなことでも叶えるつもりでいますし、そうすべきこともわかっています。…ですが…」
「…宮間さん?」
目の前でがっくりと項垂れる隼人に、宮間が唐突に話し始める。
だが何を言っているのかが理解できない。明らかにいつもとは違う彼女の様子に、顔を上げた隼人は妙な胸騒ぎを覚えた。
理由なんてわからない。それは直感的なものだ。
だが、その直感が幾度となく的中してきたのも嫌と言うほどわかっている。
まさか、彼女に何か___

