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「あっ、志保ねえちゃん!」
「しほおねえちゃんっ!!」
入って来た人物に気付くなり、わっと一斉に子ども達が群がっていく。
おしくらまんじゅう状態の人気ぶりに驚きながらも、志保は笑顔で子ども達を抱きとめる。中でも先頭きって足にしがみついている瑠璃に、志保は愛おしげに目を細めた。
「るぅちゃん、元気になってよかったね」
「うんっ! おねえちゃんずっとこなかったからしんぱいしてたんだよ?」
「ごめんね? ちょっとお勉強とかが忙しくって」
「そっかぁ。もうだいじょうぶなの?」
期待を込めて聞いてくる瑠璃に、志保は少し言葉に詰まりながらしゃがみ込む。
「…今日はね、大事なお話があって来たの」
「だいじなおはなし…?」
きょとんと首を傾げる姿が何とも子どもらしい。
…もうしばらくはこの笑顔とも会えない。
そう思うと、途端に色んな想いが駆け巡って目頭が熱くなっていく。
けれど子どもの前ではいつだって笑顔でありたい。
そう自分に言い聞かせると、小さく頷いて精一杯の笑顔を作った。
「…おねえちゃんね、しばらく遠くにお勉強しに行くことになったの」

