「____え? 今何て言ったの?」

久しぶりの呼び出しに意気揚々とやってきた女の顔が一瞬のうちに険しいものへと変わっていく。

「だからもう終わりにしようって言ったんだ」
「なっ…いきなり何を言ってるの?! そんなの納得いかないわ!」

昼下がりのオープンテラスのカフェに女のヒステリックな声が響き渡る。
目の前に座る男はそんな女の取り乱した様子にフッと笑い声を零した。

「納得? そんなもの俺たちには必要ないだろ? どちらかが終わりだと言えば黙ってそれを受け入れること。それが俺たちの関係のルールだったはずだ」
「それはっ……でも突然どうして?! 私たち上手くいってたじゃない!」

「…互いのプライベートに口出ししない。これも約束だったよな?」
「……っ!」

低い声で投げられた言葉に女、里香子が黙り込む。
唇を噛みしめ、握りしめた手はワナワナと小刻みに震えている。