今自分の中で確かに生きている命はどうなるのだろう。
彼との間に芽吹いた、何よりも大切な大切な、命。
きっと彼は喜んでくれると信じていたし、痛みを知る彼だからこそ、大切に愛情を注いでくれるだろうと信じて疑わなかった。
けれど____
「…っ!」
ズキンと下腹部に痛みが走る。
妊娠に気付く前から続く痛みは、今日はいつにも増して酷くなっているように思えた。それは今の自分の心を反映しているかのようで。
「だめ…今は余計なことは考えちゃ、だめ…」
考えなければならないことは山ほどあるのに、今の自分にはそれは毒だ。
この子だけは何があっても守り抜いてみせる。
____たとえ彼を失うことになろうとも。
彼の母親の気持ちが今ならよくわかる。
全てを失うことになったとしても、ただ一つだけ失えないものがある。
それこそがこの命なのだと。
きゅっと唇を噛みしめて気丈に涙を拭うと、志保は迷いを振り切るように前を向いた。
母として強くならなければいけない。
これから何があってもこの子だけは守れるように。
自分に必要なのはその覚悟だ。

