それから女性がいつ帰ったのかも覚えていない。
気がつけば、自室のベッドで横たわる自分がいた。
カーテンの隙間から零れる光に、知らぬ間に夜が明けていたことを知る。
彼女と会ったのは日中だったはずなのに、自分の記憶は一体どうしてしまったというのか。
辛うじて浮かんでくるのは心配そうに何かを語りかける宮間の姿。
けれど自分がそれに対して何と答えたのかは思い出せない。
何も。
ただ、ただ、呆然と。
全てが真っ白に塗りつぶされて。
何も考えることなどできなかった。
「はや、と、さん…」
けれどハンカチだけはしかと握りしめられたままで。
見るも無惨なほどにしわくちゃになったそれに、尚もしっとりと濡れたそれに、きっと無意識のうちに夜通し泣いていたのだろうことを知った。
縋るように額にハンカチを押し当てる。
『 子どもに罪はないんだから 』
頭が割れそうな程にその言葉が繰り返される。
子どもに罪はない、それは嘘偽らざる事実だった。
本来子どもは親からの愛情を受けられて然るべき存在。
どんな理由があっても、その存在を奪うことなど許されない。
じゃあこの子は…?

