「………え…?」
そのたった一言を発するのに一体どれだけの時間を要しただろうか。
今にも消え入りそうな声を聞くなり、みるみる里香子の顔が綻んでいく。
まるで私の勝ちよと言わんばかりに。
「ごめんなさいね? 本当ならあなたには言わないでいた方がいいと思ったのよ。でもどうしても別れる気はないって言うものだから、だったら話すしかないと思って」
「……にん、しん…?」
「えぇそうよ。ここにあの人の、隼人の子どもがいるの」
そう言って撫でたお腹はまだ見た目にはよくわからない。
気がつけば、知らず知らず志保も自分の下腹部に触れていた。
包み込むように、守るように。
そこも見た目ではわからないけれど、確かに生きている命がある。
何があっても守らなければならない、尊い命が。
けれどそれは自分だけじゃ、なかった…?
全く想定だにしていなかった展開に、ガラガラと足元から何かが崩れ落ちていく。

