いつかあなたに還るまで


けれどきっかけはどうであれ彼は変わった。
今は真剣に自分と向き合ってくれている。
あの日、深く結ばれた夜、彼はきっとそのことを話そうとしてくれていた。そして懺悔しようとしていたのだろう。それを止めたのは自分だし、やっぱり聞いておけばよかっただなんて思わない。

だって、言葉などなくとも彼の想いが痛いほどに伝わったから。
だから他人が何と言おうと、彼の言葉だけを信じる。
その想いは決して揺らぐことはない。

「…確かにきっかけはそうかもしれません。でも私は今の隼人さんを信じてますから。あなたの希望を叶えることはできません」

毅然と言い切った志保に、それまで愉快そうにしていた里香子の笑顔が引き攣る。

「…用が済んだら捨てられるだけよ? 傷が浅いうちに別れた方があなたのためなんじゃない?」
「その時はその時です。自分で選んだ結果がそうなら受け入れるだけのこと。でも私はそうはならないって確信してますから」

言い淀むことなく自信を漲らせる志保に、次第に里香子に怒りが滲んでいく。
次から次と変化していくその様に、ある意味感心してしまいそうだ。

「お子様には隼人は荷が重いんじゃなくて?」
「全くそんなことはありません。子どもみたいに笑う隼人さんも、少し影を帯びた隼人さんも、どんな彼でも大好きですから」
「…!」

志保にそのつもりはなかったが、盛大な惚気としか受け取れない一言に里香子の中がカッと沸騰する。
子どもみたいに笑う姿なんてただの一度も見たことない。せいぜいご機嫌を伺うときの愛想笑いくらいのもので、いつだってそっけなかった。
…だというのに、こんな小娘には見せるっていうの?

ギリギリと握りしめた手の平に長い爪が食い込んでいく。