いつかあなたに還るまで





「お待たせして申し訳ありません」

応接間に入ると、既に座っていた女性が顔を上げた。
その顔を見てやはり自分の記憶にはない人物であることを再確認する。

…それと同時に彼女が一体何をしにきたのかも。

「はじめまして。大川興産の大川里香子と申します。今日は突然の訪問をお許しください」

立ち上がり頭を下げた女性の長い髪がはらりと落ちる。アッシュカラーに染められた髪はつやつやとして、身につけているものからネイルを施された爪先に至るまで、とても洗練された都会の女性というのが第一印象だった。

だがぱっちりとした二重の瞳は鋭さを滲ませて志保を射貫いている。
とてもこれが初対面だとは思えない強さで。

「…いえ、どうぞおかけになってください。…それで、どういったご用件でしょうか?」

それに気付かないふりをすると、志保は努めて冷静に問いかけた。


「…取り繕っても仕方ないですし、おそらくあなたも薄々勘づいてると思うので単刀直入に言わせてもらいますね。…彼と、隼人と別れてもらえませんか?」

「_____」


きっとそういうことだろうとは思っていた。

けれど想像以上の直球に、志保は息を詰まらせて女性を凝視した。