いつかあなたに還るまで



翌日、志保は昌臣に呼び出されていた。
普段めったに入ることのない祖父の部屋で二人向かい合う。
昌臣が呼び出した理由など一つしかないことを志保はわかっている。

「志保、隼人君との食事はどうだったかね?」
「…はい、色々と気を使っていただきました」
「そうか。…実は隼人君が志保さえよければまた今後も会いたいと言ってきてるんだが、どうするかね?」

「……」

予想通りの祖父の言葉に志保は黙り込む。

昨日、あれからも隼人は積極的に志保との会話を持とうとした。
適度に答えつつも志保の頭の中は見極めることで精一杯だった。


____この男は危険


自分の中の自分が警鐘を鳴らしていた。
表面的な笑顔と瞳が全く一致していないことを。

いつもならこの時点で既に迷うことなく否やを伝えている。


けれど…