いつかあなたに還るまで



「あっ…いえ、何度もごめんなさい」
「…いえ、大丈夫ですよ。おいしいですね、この鴨のロースト」
「…そうですね」

どこか気まずさを残しながらも隼人は気にした素振りもなく笑顔で話しかける。


それから1時間ほど二人きりで食事をしながら会話をしたが、志保の記憶にはほとんどその中身は残っていなかった。
ただ目の前にいる男性の目的が何なのか、その真意を探っていた。

また今までの男性と同じで財産目当てなのだろうか…
おそらくその可能性が高いのだろう。
それならば不用意に踏み込ませてはいけない。
隙を見せてはいけない。


自分を守れるのは自分しかいないのだから。