「穴が開いてしまいそうですね」


「…え?」

ぽかんと顔を上げた志保に、宮間がふふっと笑いながら指を出す。

「そのカレンダー。穴が開きそうな勢いでじーーっと見られてますね」
「え…? や、やだっ、そんなに見てた?」
「はい。そんなに見てました」

本人に自覚は全くなかったのだろう。その指摘にカーッと一瞬にして顔を赤く染めると、手にしていた卓上カレンダーをパタリと伏せた。

「幸せそうで何よりです」
「…え?」

きょとんと首を傾げる志保に、宮間がこれまた何を今さらと肩を竦める。

「最近の志保様は本当に楽しそうで幸せそうで。見ているこちらまでお裾分けしてもらえている気分です」
「そ、そんなにわかるかしら…?」
「はい。そんなにわかります」

まるでリピート再生しているかのようなやりとりに、やはり先程と同じように頬に朱が指したが、やがて志保はふわりと心から嬉しそうに微笑んだ。

「志保様の見る目に狂いはなかったですか?」

「えっ? ……えぇ、もちろんよ」

多くを語らずとも言いたいことは伝わった。
すぐに志保が大きく強く頷いて見せると、宮間もまた嬉しそうに微笑み返した。

「帰国されるのが待ち遠しいですね」

「…えぇ、本当に」