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「……少し震えてる。もし怖いなら…」
壊れ物に触れるように優しく肩を撫でる手に、わけもなく涙が込み上げてくる。
ここで泣いたらまた誤解を与えるとわかっていても、視界が滲んでいくのを止めることができない。
「違うんです。幸せだなって思って…」
「…え?」
零れ落ちそうなほどに大きくなった滴に戸惑いを見せる隼人に、志保は肩に触れたままの大きな手に自分の手を重ねる。
「怖くて震えてるんじゃないんです。こうして…あなたに触れることができることがどれだけ幸せなことかって思ったら、勝手に震えて、涙も止まらなくて…」
「志保…」
「だからやめないでください。このまま____ 」
続けた言葉は柔らかな感触に全て呑み込まれてしまった。
優しく、甘く触れる唇に、またしても涙が溢れていく。
けれどそれを気にする者はもういない。
柔らかな温もりが触れる度に、自分の中から想いが爆発的に溢れ出す。
とめどなく流れる涙を拭うことなく目の前の首に腕を回すと、その全てを受け止めてくれるようにきつく抱きしめられた。
息も出来ないほどに強く、強く。

