真面目を絵に描いたような母にとって、風俗で働くということは想像を絶するほどの苦行だったに違いない。
それでも、我が子を育てていくには背に腹はかえられない。
決して、決して弱音を吐くことなく、母は前だけを向いて踏ん張り続けた。
思春期真っ只中の子どもにとって、親が風俗で働くというのは普通で考えれば親子関係すら破綻させてしまうほどの嫌悪感を抱く行為だろう。
だが、幼い頃からどんなときでも子どものことを第一に生きていた母を見続けていたから、不思議とそういった感情が湧き上がってくることはなかった。
むしろいつか母が壊れてしまうのではないかと、それだけが怖かった。
そんなことはしなくていいと言ったところで現実問題生きて行くのに残された道はなく、ましてやガキにできることなど何もない。
身を粉にして働く母を、ただ支え続けることしかできなかった。
だがいつの世も非情な人間というのは存在するもので。
風俗で働き始めたことでますます周囲のいじめはエスカレートしていった。
いじめなんて可愛いものではなく、中には立派な犯罪と呼べるような行為もあったが、いつかはこの地獄から抜け出せる日が来ると信じ、ひたすらに耐える日々だった。
そのために必死に勉強し、成績だけは常にトップを維持し続けた。
どんなにバカにされようとも、そんな連中よりも下になってなるものかと、その反骨精神が自分を支え続けた。
そしていつか必ず自分が母を楽にさせてやるのだと固く誓って。

