いつかあなたに還るまで


「はじめまして。霧島隼人と申します。今日はお会いできて嬉しいです」

フレームの奥の瞳が緩い弧を描く。

「あ…西園寺志保と申します。はじめまして」

それだけしか言えずに志保はただ立ち尽くすことしかできない。
彼の表情から目を離すことができなかった。

「立ち話もなんだ。食事しながらゆっくり話そうじゃないか」
「そうですね。ありがとうございます」

昌臣の提案に隼人はニッコリと笑顔を見せた。


それから三人が席に着くとすぐに料理が運ばれてくる。
メニューはフレンチのフルコース。

「隼人君はワインでいいかね?」
「はい。では御言葉に甘えて少しだけいただきます」

昌臣と隼人のグラスにはワインが、アルコールが苦手な志保のグラスには水がそれぞれ注がれていく。

「では乾杯するとしよう」

「「乾杯」」

昌臣のかけ声に合わせて手にしたグラスを上げると、軽く口に含んで食事は始まった。