何かの聞き間違いかと思ったが、瑠璃の表情は至って真剣だ。
「え…るぅちゃん? 一体何を言って…」
「まえにね、たっくんがいってたの。おとなはすきなひとのことをかんがえてぼーっとなっちゃうんだって。それってこいわずらいっていうんでしょ?」
「……」
そもそも何をどうすればそんな会話になるのかと驚きで言葉も出ない。
「それでね、しほおねえちゃんもそうだったから」
「…え?」
弾かれたように顔を上げると、またしても瑠璃は周囲に聞こえないように耳打ちしてきた。
「おねえちゃんもね、こいわずらいなんだって」
思わずぽかんとしてしまったが、瑠璃はそんな隼人にニコーッと満面の笑みを向ける。
「おにいちゃんもおねえちゃんもどっちもすきなんだよね。だからこいわずらいでぼーっとしちゃうんでしょう?」
「……」
何をどう返せばいいのだろうか。
子ども相手だというのに。
…いや、だからこそうまく返せない自分がいる。
「だいじょうぶだよ。しほおねえちゃんもはやとおにいちゃんのことがだいすきだから。だからずーっとなかよしでいてね!」
その言葉は鋭い刃となって心に突き刺さった。

