「志保様、そろそろお時間です」 「…わかったわ」 鏡台の椅子からゆっくりと立ち上がると、志保は鏡に映る自分を見つめた。 母を知る人からは瓜二つだと言われるこの容姿。 母が生きていたら今の自分を見て何と言うだろうか。 瞳を閉じれば今でもはっきり脳裏に浮かぶ両親との幸せな思い出達。 「志保様?」 「…今行きます」 ゆっくりと目を開くと、志保は思いを断ち切るように宮間の待つドアの方へと歩き始めた。