パタパタとガラスを叩きつける音を聞きながら、志保は雨に滲んだ窓に映る自分をぼんやりと見ていた。

「……」

無意識のうちに指が唇に触れる。
今日だけでもこれで何回目だろうか。

「なかなか止みませんね」
「………え?」

かなりの時間差で振り返ると、いつからいたのかティーセットを持った宮間が立っていた。

「心ここにあらず、ですね」
「…え?」

それでも反応の鈍い主に苦笑いしつつ、宮間は実に対照的なてきぱきとした動きでテーブルの上を整えていく。そうしてあっという間に煎れられたお気に入りの紅茶を見ながら、やはり志保はぼんやりと何かを考え込んでいた。

「恋煩い…ですか」

「…えっ?」

どこかで聞き覚えのある言葉にぱっと顔を上げる。