いつかあなたに還るまで


「はぁ…今日のお相手はどういう人なの? 宮間は何か聞いてるの?」

志保が髪を整えながら尋ねると、鏡越しに宮間と目があった。

「詳しくは。ただ先日お仕事でパーティに出席された際に知り合われたとか。あとは外務省の職員ということしか聞いていません」
「外務省…。お祖父様の交流網って本当にどこまでも広いのね」
「そうですね。日本を代表する企業の上に立たれている方ですから、ありとあらゆる出会いの場があるかと」


西園寺グループはホテル事業をを筆頭に、レジャー施設、デパートなど、幅広い業種に携わっている。
それに比例するように数多くの社交場に顔を出すことは必要不可欠で、それは志保にとっても例外ではなく、度々パーティへ出るように求められた。

「ああいう場に来るくらいの人だから、きっとまたプライドが高くて傲慢な人の可能性が高いんでしょうね…」
「それは何とも…」

言葉に詰まる宮間に志保の口から再び溜息が零れた。