いつかあなたに還るまで



「今日はありがとうございました。なんだか予定よりずっと長く拘束することになってしまって…すみませんでした」
「いえいえ、僕もこんなに体を動かしたのも笑ったのもいつぶりだっていうくらい久しぶりだったので。素直に楽しかったですよ」

施設から最寄り駅までの道すがら、2人は今日の思い出話に花を咲かせていた。

「でも子ども達が本当に喜んでくれて私も嬉しかったです。初対面なのにあんなに霧島さんに懐いてて…。私なんて初めてるぅちゃんに会った時は全然話してもらえなかったんですよ」

帰り際、瑠璃は隼人の足にしがみついて涙ぐんでなかなか離れようとはしなかった。瑠璃が初対面の相手にそこまですることはまず考えられず、志保も驚いたというのが正直なところだ。

瑠璃は母子家庭なのだが、体が弱いこともあり瑠璃が3歳の頃に育児放棄されてしまって今に至る。幼いながらもそのことは心に深い傷を残し、初めて会った頃は全く心を開いてくれる気配すらなかった。

「それは違いますよ。るぅちゃんが僕に懐いてくれたのだとしたら、それは志保さん、あなたがいたからですよ」
「…え?」
「僕が一人で会ったとしても彼女はきっと心を開いてはくれなかった。あなたの友人だと思えばこそ僕にも心を許してくれたんです」
「霧島さん…」