意識せずして動いていた自分の体に自分で戸惑いを隠せない。

何故自分はこんなことを___

「あ、あの…霧島さん?」

その言葉にハッと我に返ると、隼人はすぐに作り慣れた笑顔を浮かべた。

「志保さんはいいと仰いましたけど…やっぱりお礼がしたいんです」
「…え?」
「何でも構いません。食事でも、どこか行きたいところに行くのでも、何か欲しいものがあれば何でも言ってください」
「え…いえ、本当にそんなことは…」

「お願いします。そうでなければ私の気が済まないんです」
「…!」

あまりにも強い申し出に志保もそれ以上断ることが申し訳なくなってきた。
感謝されるのは有難いけれど、見返りなど全く考えてもいなかったし、むしろ嫌がっていた相手に善意を押しつけたのはこちらの方で____

「本当に何でもいいんです。志保さんの気持ちが嬉しかった。だから私もそれに気持ちでお返ししたい。それだけなんです」
「霧島さん…」