いつかあなたに還るまで


「霧島さんのお世話をさせてください」
「……え?」
「ご迷惑をおかけしたのは重々承知しています。だからこそこのまま帰るなんてできません。せめてもう少し具合が良くなるまではあなたのお世話をさせてください。お願いします!」

全く想定外の申し出に隼人がこれ以上ないほど目を見開いている。
当然ながらそんなことはさせられないと断ろうとしたが、頭を下げる志保のあまりにも真剣な眼差しに、思わずその言葉を丸ごと呑み込んでしまった。

「…あの、お薬はもう飲まれましたか?」
「え?」

肯定も否定もされないことにひとまず安堵すると、志保は真っ先に一番気になっていたことを聞いた。

「あ…いえ。うちには常備薬がないので…それに、いつも寝てれば大抵治りますし」
「じゃあ私が持って来たのを飲んでください。すぐに持って来ますから」
「えっ?」

言うが早いか志保は寝室を飛び出すと、玄関に転がったままになっている袋を手にしてすぐに戻って来た。