いつかあなたに還るまで


咄嗟にその体を支えると、そのあまりの熱さに志保は言葉を失った。

「…すみ、ません。大丈夫ですから…」

気丈に振る舞おうとしているが、さすがの彼をもってしても不調を隠し切れていない。それはすなわちそれだけ具合が悪いという証拠。

…もはや迷っている場合ではないと思った。

「……霧島さん、ごめんなさい。後でいくらでもお叱りは受けますから。だから今だけは勝手をする私を許してください」
「え…? あっ?!」

思考が鈍っているのか反応が遅れた隼人に構うことなく、志保は大きな体を支えるようにしっかりと足を踏ん張ると、ヨロヨロしながらもそのまま隼人を引き連れて部屋の中へと入っていく。

「し、志保さん…?」
「ほんとにごめんなさい! でも決しておかしなことはしないと何にでも誓いますから! ですから今だけはこうすることを許してください」

隼人が困惑しているのはひしひしと伝わってくるが、今は彼の体ごとひっくり返らないようにと踏ん張るだけで精一杯。30センチ近くある体格の差は思った以上にハードで、もはやズカズカと部屋に入り込んでいる現状を反省する余裕すらなかった。

「寝室は奥ですか?」
「え、えぇ…ですが一人で歩けますから。大丈夫で…」

「あんなにフラフラしてた人が何言ってるんですか! 今は無理しちゃだめです!!」